全世界を覆った新型コロナ禍によって、生活様式の変更を迫られた2020年。マスクを着用するのが日常となり、リモートで働くことも珍しい事ではなくなりました。
2021年はどんな年になるのでしょうか。新たな年を迎え、国内監視カメラ国内トップメーカーである私たちi-PROは、進むべき方向性を、改めて見つめ直しました。
1. AIフレンドリーなプロダクトの実現
近年、さまざまな分野でAI(人工知能)の活用が進んでいますが、セキュリティ業界も例外ではありません。
わたしたちも、昨年7月にAIネットワークカメラ3機種に加え拡張ソフトウエア2種を発売。さらに10月には、4K AIネットワークカメラを2機種発売しました。
2021年も、AIに関連したテクノロジーは進化し続けることが予想されます。それに伴い、「AIフレンドリー」なプロダクトが求められるでしょう。AIの能力を最大限に発揮させることを前提としたハードウエアの開発のほか、エンドユーザーが目的に合わせてAIのモデルを選定できるツールの提供など、AIの可能性をさらに拡張するような試みが注目されます。
2. 増していくRAWデータの重要性
セキュリティ業界においてAIが普及する一方で、忘れてはならないのがRAW(未加工)データのクオリティです。
カメラの撮像センサーが捉えた画像、すなわち未加工な状態であるRAWデータをカメラ内でAIが解析し処理を行うことによって、高精度な検知・識別が可能となるわけですが、悪天候などの要因により取得したRAWデータのクオリティが極端に低い場合は、AIの能力も制限されてしまいます。
AIの能力をフルに活用するためには、AIにとって可能な限り「正確な」RAWデータを提供する必要があるのです。それを踏まえると、どんな状況下でも安定してデータを取得できる技術を備えたハードウエアの重要性が、ますます高まるでしょう。
3. センシング技術の応用範囲の拡大と『ホスピタリティ』
センシング技術は、今後、セキュリティ事業の枠に留まらず、さまざまな領域に応用されるでしょう。たとえば、医療用のセンシングソリューションは、すでにわたしたちの事業の一つの柱となっています。
キーワードは「ホスピタリティ」。センシング技術をさまざまな事業に広げるためには、マニュアルや先入観に縛られず、常にユーザーのベネフィットの実現を目指して行動することが必要です。
従来は想定されていなかった用途に対しても、柔軟に、そして素早く対応すること。最先端の技術をただ取り込むのではなく、それを100%使いこなせるようなUX(User Experience)を提供すること。このような具体的なアクション一つ一つが、新たな扉を開くことに繋がります。
4. オープンな環境におけるエキスパートとの連携
センシング技術の応用範囲が広がるとともに、ユーザーのニーズもますます多様化します。そんな多種多様な要望に、柔軟かつ迅速に応えるためには、オープンプラットフォームにおける外部エキスパートとの協働が、重要な鍵となります。
たとえば、日々アップデートされるAI関連のツールについても、最先端の技術をもったベンダーと連携すれば、ユーザーに個別最適化したモデルをつくることが可能です。
重要なことは、いかに最適なエキスパートを見つけるのかということ。そのためには、わたしたちもアンテナを張り巡らせ、最新のテクノロジー・トレンドをキャッチし、常に自分たちのナレッジを書き換える必要があります。
5. 低接触時代に求められるAR、VR技術
テレワーク、ソーシャルディスタンスといった非接触・低接触のトレンドは、新型コロナ禍がもたらしたニューノーマル(新しい日常)の代表的なものです。
この傾向は、新型コロナの収束後も継続するでしょう。なぜなら、新型コロナウイルスに人類が打ち勝ったとしても、新たな未知の感染症が人類を襲う可能性があるからです。
非接触・低接触を強いられる分、「人と接したい」「心を通わせたい」という人々の欲求はますます高まることが予想されます。そんな欲求に応えるテクノロジーとして、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)がスポットライトを浴び、さらに進化するでしょう。
これらのテクノロジーにも不可欠となるのが「センシング技術」です。AR/VRによる高精度な情報出力のためにも、どんな状況下でも安定して正確なデータが取得できるセンシングハードウェアがここでも重要となるのです。
これらのテクノロジーの応用が、近い将来、新たなビジネスを生み出すかもしれません。