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i-offer TECHNOLOGY

AIが変えるネットワークカメラの未来

2022年 1月 14日

近年、さまざまな分野でキーとなるテクノロジーとして注目を集めているAI技術。
ネットワークカメラもその例外ではなく、AIによってデータ解析の精度が飛躍的に向上しています。しかし、その一方で、いくつかの課題も浮き彫りとなっています。

i-PROでは『エッジAI』を推進し、AIの力をさらに引き出すことにより、高精度で、より安全なセキュリティシステムを実現すべく研究開発しています。今回は、その戦略を解き明かしましょう。

ネットワークカメラの現状と解決すべき課題

EdgeAI-img01AIを支える重要な技術の一つにディープラーニング(深層学習)があります。これは機械学習の一種で、加工されていない大量のデータ(映像、音声など)から、自動的にその特徴やパターンを発見・抽出する技術です。

このディープラーニングを活用することにより、ネットワークカメラの画像解析能力は大幅に向上、物体の検知や識別の精度を大幅に高めることに成功し、私たちの生活に役立っているひとつの事例です。

しかし、今後AIがいっそう普及することが予想されるなかで、懸念材料もいくつか挙げられます。現段階で私たちi-PROは、「コスト」「情報機密性」「遅延」の3つを課題としてとらえています。


課題①「コスト」
AI処理を行うためには、膨大な計算量が必要です。そのためには、サーバーやクラウドなど、GPUやCPUといったコンピューティング・リソースが十分な環境を整えなければなりません。そのコストが導入の障壁となります。

課題②「情報機密性」
通常、映像や音声などのデータは、処理を行うためにネットワークを通じてサーバーもしくはクラウドに送信されます。様々なセキュア機能を搭載したとしても、送信過程でデータが漏洩したり改竄されたりする恐れがあります。

課題③「遅延」
映像や音声、特に映像はデータ量がとても大きく、それらのデータをネットワークに送信・処理し、結果がフィードバックされるまでには、わずかながらタイムラグが発生します。結果的に、リアルタイムでは情報を確認することができません。

これら3つの課題に対するソリューションが『エッジAI』です。

i-PROが技術の粋をつぎ込む『エッジAI』が革新するもの

EdgeAI-img03「エッジ」は「端末」、つまりセキュリティシステム全体で言えば、最前線に設置されるi-PROのプロダクトでもあるネットワークカメラがエッジということになります。『エッジAI』とは、サーバーやクラウドではなく、エッジ側でAI処理を行うことを言います。ネットワークカメラで言えば、AIプロセッサを搭載したカメラ自体で映像・音声などのデータ解析を行うことを指します。
これにより、データをネットワーク上で処理する必要がなくなります。したがって、サーバー設置、クラウド整備のコストは削減できますし、データが漏洩したり改竄されたりすることもありません。また、映像や音声をキャプチャしてすぐに解析できるので、遅延がなくリアルタイムで情報を得ることができます。

『エッジAI』のメリットは、上記課題を解決するだけに留まりません。画像解析精度も大幅に向上させます。
映像・音声はデータ量が大きいため、一般的に、ネットワークに送信する際にはデータを圧縮しなければなりませんが、それが解析精度に影響を及ぼすことがあります。しかし、『エッジAI』の場合は、ネットワークを介さないので、データを圧縮する必要がありません。端末でRAWデータ(処理前の生データ)を解析するため、高い精度を維持できます。
さらに、カメラで環境の変化(天候など)を確認・解析し、即時にそれを画質制御などに反映することで、精度の劣化を防ぐことも可能です。

『エッジAI』を実現する端末の開発は決して容易ではありません。i-PROは、ディープラーニングの進化をいち早く取り込むと共に、これまで培ってきた映像・音声制御技術や、端末開発技術・製造ノウハウを活かし、『エッジAI』の研究開発に取り組んでいます。

小さなエッジ端末でも分散処理技術のメリットを

EdgeAI-img02『エッジAI』の実現には、ソフトウエアの開発も鍵となります。

映像・音声の解析については、サーバーやクラウドで動作するアプリケーションが、豊富に提供されています。これらのアプリケーションをシームレスに端末に移行させることが、『エッジAI』には不可欠です。そこでi-PROでは、サーバーやクラウドで動作するアプリケーションを端末で動作させる技術を開発しています。

クラウド上で動作するアプリケーションには、コンテナ型仮想化と呼ばれる技術によって、分散処理が行われます。これにより、単体の端末に故障・障害が起こってもシステムが維持されるほか、システムにかかる負荷が分散され、アプリケーションの稼働管理やシステムの拡張が容易になるメリットが生まれます。

ただし、この分散処理技術は、コンピューティング・リソースやメモリ・リソースが潤沢な環境を前提としており、端末に組み込むためには、高いハードルを越えなくてはならないことも事実です。これらの技術をリソースが限られた小さな端末に組み込む、もしくは同等の処理を端末で行えないかなどの技術開発にも、i-PROは挑戦しています。

『エッジAI』によって、さらに高精度で、より安全なセキュリティシステムが実現されようとしています。i-PROによる今後の『エッジAI』の発展・拡大に、ぜひご期待ください。

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